英国ロイヤル・バレエ「白鳥の湖(Swan Lake)」

ロイヤル・バレエの「白鳥の湖」、夢のような素晴らしい公演でした。チャイコフスキーの流麗な音楽、美しい純白の白鳥たち、幻想的な湖の雰囲気とおとぎ話の世界。やはり白鳥の湖は、バレエのなかのバレエ、名作なんだと思いました。


「白鳥の湖」(ナタリア・オシポワ/マシュー・ゴールディング/ロイヤル・バレエ団)【高画質】【バレエDVD/Blu-ray「白鳥の湖」トレイラー】

主役のオデットを踊ったのはNatalia Osipova。オデットは、魔法により白鳥とさせられ、夜だけ人間の姿に戻れるという悲しい運命の王女。その心を踊りで繊細に描き出して表現していて、感動的でした。私はロイヤル・オペラではOsipovaが主役を演じる公演ばかり見ていますが、作品により役柄により、弾むような喜びや、憂い深い悲しみ、さまざまな感情を表現して、本当にすごいなあと思います。

純粋な王女オデット(白鳥)と、王子を誘惑する邪悪なオデット役(黒鳥)は、同じダンサーが躍ります。性格が全く異なる2役を踊り分けるのは、ダンサーにとっても難しいそうです。オディールは、黒い衣装に表現されるように、自信の笑みをうっすらと浮かべて巧みに王子の心を落としていくような悪女風。純粋な王子様はかなわないでしょう。完敗!オディールが舞踏会で王子を魅了する場面では、黒鳥のパ・ド・ドゥが圧巻です。他のバレエでは見たことがないような、超技巧で32回のフュッテをOsipovaは見事に決めて大拍手でした。

昨夜の舞台は、装置も素敵でした。湖の幻想的な様子、お城の舞踏会の豪華な装飾と衣装。本当に華やか。王子様は優雅で高貴、悪役の魔法使いはすらりと大柄でクールな叔父様風、女王様は威厳と品格にあふれて、見応えがありました。

チャイコフスキーの音楽は、この作品を通してほぼずっと抑制された感じですが、最後のオデットが身を投げる場面ではいかんなくチャイコフスキー節が発揮されて、白鳥のテーマが重厚で流麗な音がうねるように奏でられて、身も心も振るわせられます。

素晴らしい夜でした。カーテンコールもひときわ長く、大きな拍手が続いていました。感動でした〜!